小さな目のような点、波打つ縞、キルトのようなふくらみ。バーズアイ、カーリー、キルテッドは、メープルに現れる「杢」の名前です。ハードメープルにも、バーズアイやカーリーの杢は現れます。木材の種類を表す呼び名と、模様を表す呼び名を整理すると、メープルの表情が分かりやすくなります。 AHEC American Hardwoods Guide 2024 Hard Maple(冊子44–45頁)


掲載写真は、その樹種・杢の色味や木目を知るための一例です。天然木は一枚ごとに表情が異なり、写真と同じ色味・木目のものが届くわけではありません。
名前の基本情報
- 素材の呼び名
- メープルはカエデ属の木材の総称。ハードメープルは流通上の材の区分、バーズアイ・カーリー・キルテッドは杢の呼び名です。 AHEC American Hardwoods Guide 2024 Hard Maple(冊子44–45頁) / Oregon State University:Bigleaf Maple
- 英語の杢名
- Birdseye maple / Curly maple / Quilted maple Bal・Schneider・Richter(2020)メープルの杢を用いた研究 / Oregon State University:Bigleaf Maple / Auburn University:Figure in Wood(1977)
- 分類
- ムクロジ科カエデ属(Acer)。古い資料ではカエデ科とされることもあります。 Kew POWO:Acer saccharum / Kew POWO:Acer rubrum / Kew POWO:Acer macrophyllum
- メープルの樹種例
- Acer saccharum Marshall(シュガーメープル)、Acer rubrum L.(レッドメープル)、Acer macrophyllum Pursh(ビッグリーフメープル)など。 Kew POWO:Acer saccharum / Kew POWO:Acer rubrum / Kew POWO:Acer macrophyllum
- 自然分布の例
- A. saccharum はカナダ東部から米国中・東部、A. macrophyllum はカナダ南西部からカリフォルニア。 Kew POWO:Acer saccharum / Kew POWO:Acer macrophyllum
ハードメープルと杢の名前の関係
北米材の流通でハードメープルと呼ばれるのは、主にシュガーメープル(Acer saccharum)とブラックメープル(Acer nigrum)です。これは木材の種類をまとめた呼び名で、バーズアイやカーリーのような模様の分類とは別です。ハードメープルにも、バーズアイやカーリーが現れます。 AHEC American Hardwoods Guide 2024 Hard Maple(冊子44–45頁)
一方、カーリーはレッドメープルにも見られ、ビッグリーフメープルにもキルテッドなどの杢が現れます。「杢があるからハードメープルではない」ということでも、三つの杢が必ず同じ樹種ということでもありません。杢の名前だけで、木の種類までは決まりません。 Bal・Schneider・Richter(2020)メープルの杢を用いた研究 / Oregon State University:Bigleaf Maple
三つの杢の特徴
バーズアイは、鳥の目を思わせる小さな渦模様が点々と現れる杢です。目の大きさや間隔、面の中での広がりには個体差があり、掲載写真はその表情の一例です。 Bal・Schneider・Richter(2020)メープルの杢を用いた研究
カーリーは、波打つような縞が現れる縮み杢です。繊維方向のうねりが関わり、光の向きによって明暗の印象が変わります。縮みの細かさや間隔、出方には個体差があり、細かな縞が続くものも、幅のある波のように見えるものもあります。掲載写真はその一例で、同じ細かさを示すものではありません。 Bal・Schneider・Richter(2020)メープルの杢を用いた研究 / Cornell University:Figured maple
キルテッドは、キルトのような、ふくらみを感じさせる模様が現れる杢です。ここでいう「ふくらみ」は見え方の説明であり、シートの表面が実際に盛り上がっているという意味ではありません。 Auburn University:Figure in Wood(1977)
大学の研究からわかること
ミシガン工科大学の研究者による2020年の論文では、バーズアイのシュガーメープルとカーリーのレッドメープルを研究しています。身近な材料の模様も、樹種を確かめながら調べる研究の対象になっています。 Bal・Schneider・Richter(2020)メープルの杢を用いた研究
杢が生まれる仕組みには、今も解明されていない点があります。この論文でも、原因について残る疑問や、呼び名の重なり、地域による違いが紹介されています。美しい模様として親しまれてきた一方で、木材研究の対象でもあるのがメープルの杢です。 Bal・Schneider・Richter(2020)メープルの杢を用いた研究
模様は、面と光で楽しむ
コーネル大学の研究ページには、繊維方向の違いによってハイライトが動く様子を示すCGがあります。実材の商品写真とは別物ですが、写真一枚では捉えきれない杢の見え方を考える手がかりになります。オレゴン州立大学は、こうしたメープルの杢を生かす用途として、家具や内装パネル向けの薄い化粧単板も挙げています。 Cornell University:Figured maple / Oregon State University:Bigleaf Maple
森工芸のメープルを選ぶ
森工芸ではバーズアイメープルとカーリーメープルのA4ツキ板シートを販売しています。どちらも天然木と工業用和紙を貼り合わせた、厚さ約0.25mmの表面材です。商品ページの樹種説明では、産地を「アメリカ」と案内しています。 森工芸 バーズアイメープル A4ツキ板シート / 森工芸 カーリーメープル A4ツキ板シート
写真からは、点状の杢や波状の杢にどのような表情があるかを知ることができます。ただし、写真と同じ色味や模様の一枚を選ぶものではありません。使いたい面積や用途をもとに素材を検討し、貼る前には小片で下地や仕上げとの組み合わせを確かめてください。 森工芸 バーズアイメープル A4ツキ板シート / 森工芸 カーリーメープル A4ツキ板シート
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