木象嵌(もくぞうがん)は、異なる色や木目の木材を精密に組み合わせて模様やデザインを作り上げる技法です。
この技法は、家具や工芸品に装飾を施すために古くから使用されてきました。
木象嵌は、木材の自然な美しさを活かし、職人の熟練した技術によって完成する、非常に繊細で芸術的な技法です。

[語源]

「象嵌」という言葉は、「象(かたどる)」と「嵌(はめ込む)」という二つの言葉に由来します。
象は何かを形にする、嵌は何かをぴったりとはめ込むという意味があります。
英語では「Marquetry(マーケトリー)」と呼ばれ、フランス語の「marqueter(マーケテ)」から派生しており、これは「装飾のために小片をはめ込む」という意味です。
螺鈿(貝)、金属、象牙、陶磁器、石などさまざまな素材が象嵌に用いられますが、『木象嵌』はその名の通り、木を象って嵌め込む技法です。

[木象嵌の歴史]

木象嵌の技法は、古代から世界各地で発展し、その起源は非常に古い時代にさかのぼります。
最も古い象嵌の例として知られているのが、古代エジプトのツタンカーメン王の副葬品です。特に、木象嵌の最も古い例としては、ツタンカーメン王の副葬品であったスツールが挙げられ、現在はカイロのエジプト美術館に展示されています。
このスツールには、象牙や貴石が木材に象嵌されており、古代エジプトの高度な工芸技術と美的感覚を示す貴重な遺物です。
古代メソポタミアやインダス文明でも象嵌技法は発展しており、木材を使用した可能性も考えられます。
これらの文明では、象嵌技法が宗教的儀式や装飾品に広く用いられ、独自の発展を遂げました。
また、象嵌技法は古代ローマやギリシャでも広く普及し、その後イスラム文化圏にも伝わりました。イスラム文化圏では、特に幾何学模様を特徴とする繊細な象嵌技法が発展し、建築や装飾品に多用されました。

 

[ 日本における木象嵌の歴史]

日本における木象嵌の歴史は、奈良時代に創建された正倉院に収蔵されている宝物が木象嵌の代表的な例です。
正倉院には、聖武天皇が使用した調度品や工芸品が多く保管されており、木象嵌が施された品々も含まれています。
これらの品々は、中国や朝鮮半島から伝わった技法を基に、日本独自の美的感覚で発展させたもので、特に仏教工芸や貴族の装飾品に広く用いられました。
江戸時代に入ると、木象嵌はさらに広がり、家具や文房具、装飾品に多く用いられるようになり、日本の伝統工芸として確立されました。

 

[木象嵌の技法]

木象嵌は、異なる色や木目の木片を精密に組み合わせて模様やデザインを作り上げる伝統的な技法です。

木を精密に切り出す方法はさまざまですが、基本的な制作工程としては、まずベースとなる木材にデザインを描き、そのデザインに合わせて異なる種類や色の木片を切り出します。これらの木片を丁寧にはめ込んでいくことで、全体のデザインが完成します。

森工芸では、「ツキ板」を用いた木象嵌を行っており、素材が非常に薄いため、より繊細で緻密な表現が可能となっています。

[現代の木象嵌]

現代においても、木象嵌は高級家具や工芸品の装飾技法として広く用いられています。

機械化や技術が急速に進化する現代において、私たちは伝統技術を深く理解し、それを現代の工芸に昇華させる新たな形を追求しています。

 

MORI KOUGEI木象嵌作品

Kenichi Mori_CLOCK

MARQUETRY PLATE Rectangle

STAND Hoek Japanese Oak(Indigo Dyed)

 

STAND Hoek Japanese Oak(Indigo Dyed)/藍染 木象嵌 サイドテーブル MORI KOUGEI - MORIKOUGEI ONLINE STORE

 

素顔 森賢一URL  : https://mori-kougei.com/
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